2011年8月7日日曜日
「歯性病巣感染の現在」花田信弘先生
花田先生は、昨年9月のブログでもご紹介しましたが、
鶴見大学歯学部探索歯学講座の教授であります。
このたびの歯内療法学会でもご講演いただきましたので、
その内容を以下ご紹介したいと思います。
口の中には、何種類もの細菌が存在していますが、
口中の糖分とがっちり結合して「バイオフィルム」という
強固なバリアをつくってしまい、
歯の表面にヌルヌルといたものとして付着しています。
これらバイオフィルムは、
①裂溝・・・・・・ものを咬む面にあるくぼみや溝
②歯頚部・・・・歯と歯ぐきの境目
③根管・・・・・・神経が通っていた管の内面
④根尖孔外・・歯根の先端付近
など、
場所によって細菌の性格が異なってくるので、
バイオフィルムのなり方も違ってきます。
花田先生は、ここで、
なかでも、
④根尖孔外のバイオフィルムが付着している歯根は、
(歯科では「感染根管」「根尖病変」といいますが)
炎症性産物が持続的に産生されているので、
がん、糖尿、脳卒中、急性心筋梗塞など
全身疾患に共通する危険因子と大きく関わっている。
全身と関わっているのは、決して歯周病だけではない! と、
何度も何度も強調していました。
さらに、
ヒトは血管とともに老いていく。
つまり、加齢とともに動脈硬化が進行し、生活習慣病に罹患していくが、
そのような中で
感染根管を防ぐ適切な歯科医療が提供されることはさることながら、
歯髄炎(歯の神経まで病気)や齲蝕にならないように
糖分の取り方を含めた生活習慣を改善することにより
炎症性産物による血管の老化を遅らせ、
生活習慣病を防ぐことが可能になる、とも
訴えていました。
で、ここからは花田先生の講演を聴いた上で、
私から患者の皆様へのお願いです。
今後、感染根管を増やさないため、
☆ まず、とにかく虫歯をつくらない。
☆ 詰め物やかぶせたものが外れてしまったら放置せず
歯科医院で処置する
☆ 例えば、体調不良の際など、きまって症状が表れる歯があれば
感染根管の疑いがあるので、歯科医院で診てもらう
以上の目的で、
予防処置や定期的なクリーニングなども含め
歯科医院を上手にご利用いただければと思います。
それが、結果的には生活習慣病になりにくい体をつくることに
つながるのですから・・・・・。
※