2010年8月1日日曜日

歯内療法学会参加



この写真、パッと見で、
「歯列(歯並び)から炎が出てる~」と おわかりでしょうか?

ウフフ・・・
スゴイですよね!
歯が燃えているんですよん・・・・。

実は、この写真はある学会プログラムの表紙であります。
先週、7月24・25日の土日、
診療を休み、(自宅解体工事もお休みでしたので、ホッ!)
日本歯内療法学会学術大会に参加して参りました。

歯内療法学会とはどんな学会かと申しますと・・・・・
2月のブログでも、ちょっと触れさせていただきました。
http://dente-sato.blogspot.com/2010/02/blog-post.html

歯の中の治療についての学会でありますが、
この度の31回学術大会会長・中久木一乗先生、
大会プログラムの中で述べているご挨拶でのお言葉が
大変わかりやすいので、以下、一部を引用させていただきます。

                   ※
歯内療法は、歯周治療と一体になって歯を守る
「歯科治療の中心・柱・本質」の治療学です。

歯科保健・予防の次ぎに位置する治療です。

歯周治療が歯の外壁部分の疾病を対象とするのに対し、
歯内治療は歯の内部の疾病を対象とし、
多くの場合は、見難い部分の手さぐり的技能を求められる
神秘的な治療の学問ともいえます。

残念なことに全国の歯科大学・歯学部において、
歯内療法の専門講座が減少しています。

これには、多くの複雑な原因がありますが、
科学的根拠に基づいた歯内治療が、
歯の長期保存維持を可能にする数多くの実例を
私達が提示することで、今後、社会の理解も進むでしょう。

歯を失って口のリハビリ生活になりたい人はいない筈です。
人生において自分の歯で話し、笑い、食べることの素晴らしさは
国民の皆がよく知っていることです。

歯を残す歯内治療は自然を守り、地球を守る医療の一つ
といっても過言ではないでしょう。

抜歯後の「口腔リハビリ処置」の如く、多くの資源と時間と
エネルギーと忍耐を必要としません。

歯内治療は、人と地球に優しいエコ治療であり、
私達は、人類にとって将来とも好ましい医療を追求していることを
誇りに思っています。

日本歯内療法学会は30年の活動の歴史があり、
日本で唯一の専門学会でとして、そして、国際学会加盟学会として、
誇りと責任があります。

歯内療法を学ぶことは、歯科医師として、正道の一つであり、
正しい道を歩んで、今後とも国民の健全な人生に寄与するという
やりがいと希望に満ちた領域です。
                  
・・・・・・と、中久木先生のお言葉は続きます。

              ※

この度、私が9年ぶりに「この学会に参加したい!」と
なぜ思ったかと申しますと、

歯科治療のほぼ中心に位置する歯内治療を
もう一度、見直したいと思った、ということと、
我々歯科医師は「歯を守るべき立場にある」ことを
再認識したかったからであります。

「何を見直すのか?」と言いますと・・・・

歯を失ってしまったところには、
自分の歯のように噛めるインプラントを入れるのが当たり前
とさえ言われるようになり、
インプラントを入れるために、まだ保存できる歯までも抜歯して
インプラントを勧める歯科医師が少なくない昨今、

本当にそれでよいのか?
温存できる歯は守っていくのが我々歯科医師の使命ではないのか?
インプラントがこれだけ普及している現在、
歯内療法学会はどのような認識なのか?
確かめたい! 
それが一番の目的でありました。

そして、学会参加。

科学的な根拠に基づいた歯内治療をすることで
歯の長期保存維持が可能になることを
我々こそが社会に提示しなければ!という
中久木先生のお言葉はじめ、

義歯やインプラントにならずにすむように
抜かずに残す治療が大切なのだということを
学会中、多くの先生方からお聞きし、
ホッと胸を撫で下ろし、
あらためて、歯内治療の大切さを再認識したしだいであります。

嬉しかったのが、
思いの外、 若い先生方の参加が多かったということです。

インプラント関係の講習会、学会に参加しますと、
周りは、若い先生方ばかりということもあったので、
若い先生方は恐らく、歯内治療学にあまり興味を
お持ちでないのでは?などと思い込んでいましたが、

インプラント治療がクローズアップされる中、
このような地道な治療にも耳を傾け、技術を高めようという
若い先生方がいるということは、
これからの歯内治療の未来に繋がるという
安心感と心強さを 強く感じ、
久し振りの学会参加は、大変有意義なものとなりました。

大会会長の中久木先生はじめ、実行委員の先生方
大変お世話になりました。

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